腫瘍の正体は「ガンモドキ」か?
最初の病院からのデータの見立てで、ステージⅡかⅢと言われてた「大腸がん」は、再検査で内視鏡手術でやれることになった。
通常、ステージⅡ、Ⅲだと腸壁深く浸潤し、リンパ節への転移を疑い大腸を20~30㎝近く切る。私の腫瘍は3㎝以上あるので、表面だけに留まっているとは考えにくいので、当然大腸を切除することになると言われたが、2回目の検査で色々と調べるとそうでもなさそうだ、とのことらしく内視鏡で切除することになった。
うれしかった。腹を切られたら腹筋ズタズタになるのでかなり長い間運動できなくなるそうだったから。
1回目の検査は別病院だったからね。2度手間になったけどしょうがない。
長良川ミドルトライアスロンも終わった1週間後の6月6日に再検査し、「1泊2日」で手術・入院が決まった。腫瘍を取って調べないと癌がどんなもんだか正確には分からないらしい。
そうなんだ。内視鏡カメラで覗いた程度じゃ表面しかわからんもんな。表面だけ見て美人だのハンサムだの言っても、中身は分からんもんな。
腫瘍を取って「良性でした。がん細胞はありません!」と言われたら万々歳だね。それこそ腫瘍はただの「ガンモドキ」となってチャンチャン。話しはそんなにうまく進むかどうか分からないけど。
ミドルトライアスロンの疲れは、しばらく続いた。軽めのトレーニングで2週間かかってようやく疲れが取れた気がする。
入院したらあまり動けなくなるぞ、とのことで近くの低登山に妻と久しぶりにやってきた次女と3人で行ってきた。
6月9日は晴れたので、「有珠山」という活火山で今でも噴煙上がる山に行ってきた。家から登山口までは車で20分程度。活火山なので山頂までは上がることが出来ない。なだらかな山だけど最後に600段ほどの階段がある。以前、トレラン練習で来ていたこともある。
妻と娘の弁当、水筒を持ちウエイト代わりにして、トレーニングの一環。
入院までの日々は、軽めのジョグやバイク、スイムで毎日1~2時間程度やってつぶした。
6月16日(木)雨
入院手続きのため、最初にやるのがPCR検査。朝、唾液をためて9時前に病院の指定された場所で車で待機。係りの人が来て唾液の入った試験管を渡す。いったん帰宅。
2時間ほどして、「陰性ですので入院OKです。」で、いよいよ入院。大腸カメラを飲むのは3回目。腸管洗浄剤で2時間かかる。入院の退屈しのぎでiPadにアマプラの映画を数本ダウンロードしておいた。
内視鏡検査前のこの作業がつらい。食事制限が続き、当日は2時間程度下剤を飲み10回程度トイレに駆け込み、腹の中のものをすべて出し尽くす。肛門からは薄い黄色の水になるまでOKは出ない。腸の中は完璧にきれいになる。つらいけど、先月から3回もやった。ようやく看護師さんからOKが出た。
午後3時ごろから、内視鏡検査室に行く。10日前にも来たので見慣れた風景だけど、鎮静剤を打たれると一気に寝てしまう。
起きたのは午後5時ごろだったと思う。手術は正味1時間ちょっとだろう。
立ち上がれなかった。貧血のような立ちくらみがした。車いすに乗って病室まで連れて行ってもらった。めまいと吐き気がした。(さすが、手術の後だな。)とぼんやりした意識の中で考えた。
(大丈夫ですか?)と看護師さんの声がする。トイレに寄り、その後病室で寝た。
しばらくすると、夕食が運ばれた。
(もう、おかゆや介護食みたいなもんでなくていいんだな。)と思ったが、食欲はない。
しばらくしてようやく食べることが出来た。
つらくてアマプラ見る気も本を読む気もない。ただ、横になっていた。
(癌とはいえ、いままで体にくっついていた内臓を取り出すのだから、しばらくはつらいだろうな。)と漠然と考えていたが、この程度で終わるなら楽なもんだ。後はいつからトレーニングを再開出来るだろう?
朝まで寝たり起きたりした。
翌朝、7時ごろ担当の主治医が回って来てくれた。
「きれいに取れたからね。今日退院だよ。来週検査結果が分かるけど木曜日に来れる?」というのでOKした。
早く退院したかったが、手続きに時間がかかるので待たされた。
10時半過ぎに退院。家内が迎えに来て自宅に戻る。
一週間後に3㎝の腫瘍の正体がわかるんだな。「ガンモドキ」で終わればいいが。